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久米 民和
Chitin and Chitosan; Chitin and Chitosan in Life Science, p.190 - 193, 2001/00
キトサンは、放射線処理により粉末・溶液いずれの状態でも容易に分解する。放射線分解したキトサンには、抗菌活性や植物の生育活性化などの新しい機能の発現が認められる。抗菌活性としては、細菌(大腸菌E.Coli)に対する作用が強いが、糸状菌抑制効果も発現する。植物に対しては、植物の自己防御機能(抗菌物質であるファイトアレキシンを誘導するエリシター活性)の増大が認められる。また、重金属(VやZnなど)による生育障害の抑制効果や植物の生育促進などの効果も認められる。これらの結果は、天然高分子であるキトサンの放射線分解により、農業や医療分野で利用できる新しい機能を誘導できることを示したものである。
Lan, K. N.*; Lam, N. D.*; 長澤 尚胤; 吉井 文男; 久米 民和
Chitin and Chitosan; Chitin and Chitosan in Life Science, p.289 - 290, 2001/00
照射キトサンを用いてコーティングすることにより、果実の保蔵期間の延長を試みた。本技術は、照射キトサンの抗カビ活性及び膜のガス透過性の変化を利用するものである。キトサンは粉末状態で25kGy照射することにより、フザリウム,ペニシリウム,アスペルギルスなどの糸状菌を抑制する活性が増大した。照射キトサンを用いて、マンゴー及びバナナの表面コーティングを行い、貯蔵試験を行った。いずれの果実においても、照射キトサンを用いたコーティングを行うことにより、糸状菌の発生抑制、ブラック・スポット発現の防止、良好な熟成による好ましい色と香りなどの食味、水分損失の抑制効果が認められた。これらの結果から、照射によって低粘度化したキトサンは、果実保蔵に適しコーティング剤として利用できるものと考えられた。
吉田 勝; Hendri, J.*; 前川 康成; 久米 民和; 片貝 良一*; Said, A. E. A.; Hegazy, E. A.
Chitin and Chitosan; Chitin and Chitosan in Life Science, p.43 - 46, 2000/00
キトサンは酸性水溶液に溶解する。この条件下で線照射を行った場合、キトサンは分解することが知られている。しかしながら、キトサンのアミノ基を、あらかじめカルボキシル基を含む重合性単量体と水素結合させたのち放射線照射すると、重合と架橋反応が起こり、キトサンを含む架橋構造型多孔性ゲルが得られたことを見いだした。このゲルのpH特性を調べたところ、37の場合、pH5でゲルの膨潤挙動が変化することがわかった。そこで、このpH応答性とキトサンの持つ抗菌性を組み合わせ、薬物を経皮から吸収されるためのゲル膜として薬物放出をインドメタシンを用いて検討した。その結果、薬物透過は、pH7で極大を示すことが判明した。